「トークは大丈夫です」——展示会の事前打ち合わせでこう言う営業担当の方ほど、当日はダラダラと話して終わってしまう。これは私たちが展示会の営業支援の現場で何度も見てきた光景です。ふだん商談で話せる人でも、展示会は別物です。1人あたりに使える時間は数分、相手は情報収集目的の来場者、まわりは騒音だらけ。この環境で成果を出すために必要なのが、トークスクリプト(営業用の台本)です。私たちアストラネクストは、展示会専門の営業支援会社として、クライアント企業にトークスクリプトを提供しています。その作り方を、構成テンプレートから本番前のロープレまで、そのまま公開します。なぜ展示会にトークスクリプトが必要なのか台本がないと「盛り上がった長話」で終わる台本なしで展示会に立つと、ほぼ確実に起きることがあります。話が盛り上がった来場者と10分、20分の長話になるその間に、本当に確度の高い来場者がブースの前を素通りしていく結果、名刺もアポも思ったほど取れずに終わる会話が盛り上がること自体は悪くありません。問題は、台本がないと「切り上げるタイミング」と「次のアクションへ進める道筋」が決まっていないことです。盛り上がった=成果ではなく、盛り上がった長話は機会損失です。台本があると「検証」ができるトークスクリプトのもう一つの価値は、再現性です。台本があると、「どの言い回しのときに足が止まったか」「どのフレーズでアポにつながったか」を検証できます。台本がなければ、うまくいった日も「なんとなく良かった」で終わり、次の展示会にノウハウが残りません。検証を繰り返して磨かれた台本を、私たちは「神トーク」と呼んでいます。神トークが一度完成すれば、次の展示会でも、話す人が変わっても、同じ成果を再現できるようになります。実際に私たちの支援先では、台本化とロールプレイングを徹底しただけで成果が2倍以上変わったケースがあります。展示会の右腕Tips① 出展費用を「展示会の総接客時間」で割ってみてください。3日間×8時間として、ブースに立つ1時間の単価は数十万円〜数百万円になるはずです。その1時間を「アドリブ」に賭けるのか、「検証済みの台本」で戦うのか。トークスクリプトはコストではなく、出展費用を回収するための保険です。トークスクリプトの3部構成|キャッチ・ヒアリング・クロージング展示会のトークスクリプトは、商談用の台本とはまったく別物です。作るべきは次の3パートだけです。パート目的時間の目安①キャッチ足を止めてもらい、対象者かを見極める30秒以内②ヒアリング課題・導入時期・決裁者を確認する3〜5分③クロージング後日の商談アポを取り付ける1〜2分①キャッチ:「資料どうぞ」では誰も止まらないNGなのは、いきなり自社の説明を始めることです。「弊社は創業○年で、サービスとしてはこういう感じで……」と始めた瞬間、来場者の心は離れます。来場者はまだ、あなたの会社に興味があるかどうかすら決めていないからです。キャッチのセリフは「相手が自分ごとになる問い」で設計します。「○○(業務)で、△△にお困りではないですか?」「××業界の方ですか? 今日は何かお探しのものがあって?」そして大切なのは、キャッチの段階でターゲットかどうかを見極める質問を1つ入れておくこと。対象外の方には丁寧に短く対応して、次の来場者に移ります。展示会の時間は1分単位の勝負です。②ヒアリング: 話すのは自分2割、相手8割ヒアリングパートの台本は「質問リスト」として作ります。自分が話す文章ではなく、聞く順番を決めておくのがポイントです。確認すべきは最低この3つです。課題: 今、何に困っているか時期: いつごろ解決したいか(情報収集だけなのか)決裁者: 話している相手は決められる立場かこの3つが揃った来場者には、それ以上の製品説明は不要です。説明を続けるより「来週、15分だけお時間いただけませんか?」とアポの打診に進むほうが、お互いにとって価値があります。展示会は説明会ではなく、商談の入り口です。ヒアリングの具体的な質問例や会話の回し方は、「展示会の営業トーク|ヒアリングで会話を回す技術」で詳しく解説しています。③クロージング: 「当然のように」日程を二択で出すクロージングの台本で決めておくのは、たった2つのセリフです。1. 当然のように次のステップを提示するセリフ「それでは御社の状況について、続きはオンラインミーティングでお話ししましょう。」「もしよろしければ……」と伺いを立てるのではなく、さりげなく断定して次の行動に移る。これだけでアポ率は目に見えて変わります。2. 日程を二択で出すセリフ「今週はおそらくお忙しいと思うので、来週の前半か後半ですと、どちらがよろしいですか?」「いつがいいですか?」と聞くと「また連絡します」で終わります。二択なら、相手は選ぶだけです。展示会の右腕Tips② クロージングには「今この場で予約する理由」をセットで台本に入れてください。私たちが支援先に必ず入れてもらうのは展示会限定特典です。「本日ご予約いただいた方には、展示会限定で○○(初期設計の無料提供など)があります」——人は理由があると動きます。逆に理由がなければ、「検討します」で終わります。クロージング後の切り返し(「あ、大丈夫です」と言われたときの返し方)は、「展示会で当日アポを取る方法|断り文句は「4つの不」で返す」にまとめています。「神トーク」の作り方|台本は書いて終わりではなく検証するトークスクリプトは初版で完成しません。私たちの現場では、次のサイクルで台本を磨きます。初版を作る: 上記3部構成で、セリフレベルまで書き起こす展示会当日、言い回しごとの反応を記録する: キャッチのセリフをA/Bで使い分け、足が止まった回数をカウントするその日のうちに振り返る: 展示会が終わってからではなく、1日ごとに「刺さったフレーズ」「スベったフレーズ」をチーム共有し、翌日の台本を差し替える最終日に「神トーク」として確定する: 次回の展示会の初版になるこのサイクルを回すには、全員が同じ台本で話していることが前提です。各自がアドリブで話していたら、どのフレーズが効いたのか検証のしようがありません。台本は型にはめるためではなく、検証可能にするためにある——ここが最大のポイントです。展示会の右腕Tips③ 反応の記録は凝らなくて大丈夫です。台本を印刷してバックヤードに貼り、刺さったセリフに「正」の字を書くだけでも、3日間で明確な差が見えます。台本はロープレで「体に入れる」|読んだだけの台本は本番で出ないトークスクリプトを配って「読んでおいてください」で終わる会社と、ロールプレイングまでやり切る会社では、当日の動きがまったく違います。緊張する本番で口から出るのは、体に入っているセリフだけです。展示会前ロープレの手順私たちが支援先と実施しているロープレは、次の流れです。役割分担を先に確定する: 呼び込み役・説明役・クロージング役。コンパニオンを手配する場合は、声かけと一次質問までを依頼する範囲として決めておくブースの配置と動線を再現する: 会議室でいいので、ブースの幅・デモ機の位置・立ち位置を実寸で再現する。立ち位置が変わるとセリフのタイミングも変わります来場者役を立てて通しで回す: 「忙しそうに素通りする人」「話が長い人」「競合の偵察」など、来場者のパターンを変えて繰り返す10分で切り上げる練習をする: 盛り上がった会話を「続きはオンラインで」と切り上げ、アポ打診に進む練習。実はこれが一番難しく、一番効果が出ますロープレは「全員」でやるロープレの目的はエースを磨くことではなく、参加メンバー全体の底上げです。展示会の成果は、一番うまい人ではなく、一番慣れていない人の接客で決まることが多いからです。口下手なメンバーほど、台本とロープレの効果が大きく出ます。直前1ヶ月のバタバタを防ぐ|台本づくりを後回しにしないスケジュール展示会1ヶ月前は、会場の電源申請、印刷物の入稿、アンケートツールの設定、スタッフの割り振り……と実務が押し寄せます。この時期にトークスクリプトを作り始めると、ほぼ確実に「読み合わせ1回だけ」で本番を迎えることになります。台本まわりの逆算スケジュールの目安です。時期やること6週間前トークスクリプト初版完成(キャッチ・ヒアリング・クロージング)4週間前役割分担の確定/コンパニオン・派遣スタッフへの台本共有3週間前ロープレ1回目(動線込みの通し)1〜2週間前ロープレ2回目(来場者パターン別)/限定特典の最終確定前日最終読み合わせ/刺さりカウントの記録方法を共有事前準備全体の段取りは、「展示会出展の成功法則」もあわせてご覧ください。よくある質問Q. トークスクリプトはどれくらいの分量で作ればいいですか?A. A4で2〜3枚が目安です。キャッチは一言一句レベルで、ヒアリングは質問リスト形式で、クロージングは決めゼリフ2つ(次ステップの断定+日程二択)を固定します。分厚い台本は覚えられないので逆効果です。Q. ベテラン営業に「台本どおりに話したくない」と言われます。A. 目的を「型にはめること」ではなく「検証できるようにすること」と伝えてください。キャッチとクロージングの決めゼリフだけ統一し、ヒアリングは裁量に任せる、という折衷でも検証は機能します。Q. 台本を作る時間も人手もありません。A. トークスクリプトの作成からロープレ研修、当日の現場支援までを外部に任せる方法もあります。詳しくは「展示会の営業支援・出展代行サービスとは」をご覧ください。まとめ: 勝ちたいならロープレで勝負は決まっている台本がないと、盛り上がった長話で有力リードを取り逃す台本は「キャッチ・ヒアリング・クロージング」の3部構成、A4で2〜3枚クロージングは「当然のように断定」+「日程の二択」+「今予約する理由(限定特典)」台本は検証して「神トーク」に育てる。次回の展示会で同じ成果を再現できる読むだけでは本番で出ない。ロープレで体に入れて、当日を迎える株式会社アストラネクスト「展示会の右腕」では、御社の商材に合わせたトークスクリプトの作成、ロールプレイング研修、当日の現場ディレクションまで一気通貫で支援しています。「展示会のアポが少ない」「毎回なんとなくで出展してしまっている」という方は、お気軽に無料相談をお申し込みください。