「今回の展示会、名刺は500枚集まりました」——お疲れさまでした。では、その500枚から商談は何件生まれたでしょうか?この質問に答えられない出展が、世の中の展示会の大半を占めています。原因は現場の頑張りではなく、KPI(目標数値)の設計にあります。何を目標にするかを間違えると、チームは間違った方向に全力で頑張ってしまうのです。支援先で実際に使っているKPI設計の手順を、ファネル分解から目標の置き場所まで順番に説明します。名刺獲得枚数をKPIにしてはいけない理由最も多い失敗が、「名刺○○枚」を最重要KPIに置くことです。これが危険な理由は2つあります。①名刺は、後からつながらない。来場者は1日に何十社と名刺交換します。1週間後の電話では覚えられていないか、そもそもつながりません。名刺の枚数は、商談数とほとんど相関しないのです。②チームの行動が「枚数集め」に最適化される。KPIが枚数なら、スタッフは会話を切り上げてでも名刺交換に走ります。結果、温度感のわからない名刺の山だけが残ります。では何をゴールにするか。当日の商談アポ獲得数です。私たちの支援先では、KPIを名刺枚数から当日のアポ獲得に切り替えた結果、商談数が4倍以上になった企業があります。やったことの本質は、目標の置き場所を変えただけです。なお、「受注数」をそのままKPIにするのも実はおすすめしません。来場者の多くは情報収集段階のため、受注は出展回・業種・時期によって大きく揺れ、当日の行動の良し悪しを測る物差しになりにくいからです。受注は最終成果として追いつつ、展示会そのもののKPIは「商談の入り口をいくつ作れたか」に置くのが実務的です。KPI設計の手順|ファネルに分解して、全部数えるKPIは「えいや」で決めるものではなく、当日の動きをファネル(漏斗)に分解してから決めます。ステップ1: 当日の行動をすべて分解する来場者がブースの前を通ってから商談になるまでを、段階に区切ります。通行 → 声かけ → 足を止める → 会話(スクリーニング)→ デモ/説明 → アポ打診 → 当日アポ獲得 → 後日商談 → 受注ステップ2: 各段階を定量化するそれぞれの段階に数字を置きます。例えばこんな項目です。チラシ・ノベルティ配布数声かけ数足が止まった数(キャッチ成功数)有効会話数(ターゲットとの会話)デモ実施数アポ打診数当日アポ獲得数 ←最重要KPI後日商談実施数計測できないものはマネジメントできません。最初の出展では「正確な目標値」より「全部数えること」を優先してください。1回計測すれば、自社の歩留まり(声かけ→会話が何%、会話→アポが何%)がわかり、次回からは根拠のある目標が立てられます。展示会の右腕Tips① 歩留まりがわかると、目標から逆算で当日の行動量が決まります。例えば「商談30件」が目標で、アポ打診→獲得が50%、会話→打診が30%なら、必要な有効会話は200件、1日あたり約67件、1時間あたり約10件。ここまで割れば、現場は「頑張る」ではなく「1時間に10会話を作る」という具体的な仕事になります。当日の現場KPIは「総リード数」|来場者の10%を目安に当日、現場のメンバーに「商談につながる質の高いリードを」と言っても、動けません。役職や決裁権は、短い会話では見えにくいからです。質を見極めようとすると、手が止まります。だから私たちは、当日の現場KPIは「総リード数」に割り切ることを推奨しています。目安は、ブース前を通る来場者の10%との接点づくり。質の選別は、翌日以降のフォローで行えばいいのです。現場(当日): 総リード数を最大化する。迷ったら取るマーケ・営業(翌日以降): 温度感で選別し、優先順位をつけて攻めるこの「当日は量・後日は質」の分担が、現場の迷いをなくします。当日の回し方は展示会のスタッフ役割分担、後日の選別は展示会のリードが商談化しない理由をご覧ください。本当のゴールは「後日の商談予約数」ここまでを一枚にまとめると、展示会のKPIは3層になります。層指標位置づけ行動KPI配布数・声かけ数・有効会話数現場が1時間ごとに追う数字成果KPI当日アポ獲得数(後日商談の予約数)展示会の成否を決める数字事業KPI商談実施数・受注数・受注額出展費用の回収を判断する数字どれだけブースが盛り上がっても、その場で売れるケースはごくわずかです。展示会当日は「売る日」ではなく、「話したい人との約束を取り付けて帰る日」。この定義がチームで揃っている会社は、展示会で勝ち続けます。アポの具体的な取り方・断られたときの切り返しは展示会で当日アポを取る方法で解説しています。展示会の右腕Tips② KPIボードは1時間ごとに更新してください。私たちが当日ディレクションに入る場合も、1時間ごとにKPIを確認し、数字が落ちている工程(声かけが少ないのか、打診していないのか)を特定して、その場で配置とトークを修正します。展示会の振り返りは、終わってからでは遅いのです。よくある質問Q. 初出展でデータがありません。目標値はどう決めればいいですか?A. 初回は「目標値」より「計測体制」に投資してください。それでも目安が必要なら、当日の現場は「来場者接点=通行量の10%」「有効会話の3割にアポ打診」から始めて、初日の夜に補正するのが現実的です。Q. KPIの集計が当日は忙しくてできません。A. 集計が回らないのは項目が多すぎるサインです。現場でリアルタイムに数えるのは「声かけ・有効会話・アポ」の3つだけに絞り、残りは正の字とアンケートで夜に集計してください。それでも回らない場合は、計測と集計を外部スタッフに任せる方法もあります。Q. マーケ部門と営業部門で見たい数字が違い、毎回もめます。A. 「現場は総リード、ゴールは商談予約数」で握るのが私たちの推奨です。マーケはリードの量と質、営業は商談数、と分けて見るからズレます。両部門が同じ1つの成果KPI(後日商談予約数)にコミットする形に変えてください。具体的な連携の組み方は本文で紹介したリード商談化の記事にまとめています。まとめ: 目標の置き場所が、当日の全行動を決める名刺枚数KPIは「つながらない名刺の山」を生む当日の動きをファネル分解し、まず全部数える。計測できないものは管理できない現場の当日KPIは総リード数(来場者の10%目安)に割り切る展示会の成否は「当日アポ=後日商談の予約数」で測るKPIは1時間ごとに見て、当日のうちに修正する株式会社アストラネクスト「展示会の右腕」では、出展目的のヒアリングからKPI設計、当日の計測・ディレクション、展示会後の効果検証までを一気通貫で支援しています。「出展の成果をうまく説明できない」「目標がいつも気合になっている」という方は、無料相談をお申し込みください。